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ている。わが国の手続法では、特に外国人の訴訟上の権利義務に制限を加えた規定はない。外国、一その国の行政区画、商事会社は、わが国で当然に法人として認許される。また、法律または条約で定めたものも同様である(民法第36条、商法第485条の2)。認許されない外国法人は、わが国では権利能力なき社団として取り扱われる。
(2) 当事者能力
当事者能力とは、民事訴訟の当事者となりうる能力をいう。民事訴訟は、民事上の権利の存否ならびに範囲に関する紛争解決をするのであるから、権利能力は、民事法律関係の主体となりうる権利義務の主体となることのできる能力である。したがって、民事訴訟法第28条は、当事者能力は、民法その他の実体法に従う旨を規定している。外国人の訴訟能力については、民訴第28条の他に、第33条の規定により、外国人が白国の法律に従い訴訟能力を有するときは、日本においてもこれを有する。当事者能力の準拠法については、属人法説と法廷地法説がある。属人法説では、当事者能力は属人法によって直接的に定まるとし、法廷地法説では、民事訴訟法第28条の規定によって定まるとする。属人法説が多数説である。
(3) 訴訟能力
訴訟能力とは、民事訴訟において、当事者として自ら訴訟を追行しうる能力をいう。これについても、属人法説と法廷地法説がある。法廷地法説では、民事訴訟法第28条および法例3条によって外国人の行為能力はその本国法によるが、内国取引の安全を考慮して、民事訴訟法第33条によって、外国人はその本国法によれば訴訟能力を有しない場合でも、日本の法律によれば訴訟能力を有すべきときは、結果的には、訴訟能力を有することになる。また、属人法説では、訴訟能力は原則としてその本国法によるものとし、内国取引の安全のための例外規定が民事訴訟法第33条であるとする。結果は同じであるが、属人法説が多数説である。
4. 訴訟手続
(1) 渉外的訴訟手続
訴訟手続は法廷地法によるとするのが古くから一般に認められてきた原則である。しかし、いかなる事項が手続に関するかは、必ずしも明らかでないし、また各国で異なってい

 

 

 

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